2023年6月定例会などについての見解
2023年7月27日
日本共産党山形県議団
団長 関 徹
石川 渉
2023年度6月補正予算が全会一致で可決・成立しました。日本共産党県議団は、補正予算を含むすべての議案に賛成しました。県民に対する説明責任を果たす立場から見解を表明します。
今定例会では、関県議が予算特別委員会質問で、「核兵器禁止条約」「LGBTの方々の権利」「新型コロナ」「学校給食無償化」「生活道路の交通安全」について、県民要求実現の政策を提起して論戦を展開しました。
自民党は代表質問で「女川原発の2号機再稼働は、資源のない日本では今の電気料金高騰を抑える手立てとして重要なもの…、女川3号機…、稼働されることが望ましい…卒原発・脱原発の前に原発との共存が重要」と主張しましたが、吉村知事は「将来的には原発に頼らない社会を目指す必要がある」と答えました。
県政クラブは代表質問で「洋上風力発電推進の意義と県民の理解を得ながらどう取り組むか」と尋ねました。環境エネルギー部長は「遊佐町沖については、騒音や景観、漁業への影響など様々な声に丁寧に対応しながら検討を進めた。この3月には地元関係者等による法定協議会において…、促進区域指定に向けた手続きに入ることの合意がなされた。促進区域指定後、公募により選定される事業者には将来像の実現と合わせ、地域の不安の声にしっかりと対応するよう求める…。酒田市沖についても部会で、有望な区域の選定に向けたプロセスに入ることの了解がなされており、引き続き酒田市と連携し、漁業者や地域の理解促進を図ります」と答えました。
党県議団は、岸田政権の原発再稼働、老朽原発の運転期間延長と新規原発建設を断じて許さず、吉村県政が「卒原発」の方針を堅持していることを高く評価します。
原発に換えて再生可能エネルギーの振興を抜本的に強化する事が求められていますが、それは、地域振興に役立つ事業として、住民の合意に基づいて進められなければなりません。
現在進められている遊佐沖の洋上風力発電では、健康被害・景観破壊の問題など、住民から提起されている問題点を解消することが求められています。
(1)2023年度6月補正予算について
① 県2023年度6月補正予算には、原油価格・物価高騰対策関連が計上されました。山形県は、国から約55億円配分が予定され、そのうち約44億円を活用する方針です。
内訳は、プレミアム商品券等発行事業に15.9億円、医療機関、介護施設、障がい福祉サービス施設等に対する支援に約9.6億円。畜産支援に8.5億円。特別高圧を受電する中小企業に2.1億円。手配型商品等への支援2.7億円などです。
物価高騰の各支援内容は、大半が昨年度と同様のものですが、医療機関、福祉施設などへは昨年度と比べ支援単価が半減し(病院1病床あたり6万円が3万円など)、病院関係者から落胆の声が寄せられています。重粒子線治療施設のために特別高圧を受電している山形大学には、1病床あたり9万円の支援枠が新設されました。
政府は既に電気代として、家庭・企業に7円、高圧契約に3.5円(1kWhあたり)を支援していますが、10月以降は未定となっています。政府の支援がなくなれば10月以降は電気代の高騰が予想されます。引き続き支援を求めていきます。
②「市町村が取り組むLPガス料金の負担軽減及び地域経済活性化に資するプレミアム商品券等発行事業に対する支援」は、市町村と連携した事業で、県は人口あたり1500円を支援するものです。
ただし、「LPガス料金の負担軽減」と表記されていますが、LPガス利用者に配布されるものではなく、LPガス料金支援とは言えないものとなっています。
県は直接支援を行わなかった理由として、LPガス販売店は家族経営などの零細事業者もあり、事務手続きが業者の負担になることを懸念したためとしていますが、山形県の一般家庭は、(県内約40万世帯のうち)約30万世帯がLPガスを使用していると言われ、県民からは「ガス料金が1.8倍になった。これでは暮らしていけない」との声が寄せられています。
国はLPガス料金支援として交付金を都道府県に配分し、多くの都道府県でLPガス料金への直接支援をおこなっているとみられ、引き続く検討が求められます。
③共産党県議団は6月2日に、物価高騰から県民生活を守るため「物価高騰対策の充実をもとめる要望」として、
- ⅰ)学校給食の無償化や子育て支援医療費など負担軽減策
- ⅱ)LPガス支援
- ⅲ)熱中症対策としてクーラー電気代支援
- ⅳ)非課税世帯を上回る低所得者支援
- ⅴ)物価高騰の影響を受けるに商工業者や農林水産業者への直接支援
- ⅵ)医療機関、介護・福祉施設への水光熱費支援を求めました。
6月補正予算では、ⅰ)ついては、県立学校の食材購入費の上昇分についてのみ支援策が採られます。ⅱ~ⅳ)はなく、ⅴ)は畜産農家への飼料価格支援が実施。商工業者支援は乏しいものでした ⅵ)は昨年比で半減するという残念なものとなりました。
6月補正予算は、県民の要望にこたえるには不足していると言わざるを得ません。県としての更なる努力と共に、根本的には国の交付金が少ないことが原因であることから、政府にさらなる増額を強く求めていかなければなりません。
政府は、原発ゼロ・輸入化石燃料依存脱却・再エネの抜本的拡大、電力改革も含めたエネルギー政策転換で電気料金抑制を図るとともに、5年間で43兆円という軍事費への投入を改め、社会保障拡充なども含めてさらなる物価高騰対策に力を入れるべきです。
(2)予算特別委員会質問(6月29日)
関県議は以下の項目を取り上げました。
- 1)核兵器禁止条約について
- 2)LGBTの方々の権利を守る取組みについて
- 3)新型コロナに係る医療・介護について
- 4)学校給食の無償化について
- 5)生活道路の交通安全対策について
1)核兵器禁止条約について
ロシアのウクライナ侵略戦争と核兵器使用の威嚇、ベラルーシへの戦術核兵器配備などが核戦争への不安を高める一方、核兵器禁止条約批准国が92の国と地域に到達、条約批准を求める意見書を議決した地方議会が全国の37%、本県では25市町村議会に達していることを指摘。吉村美栄子知事に、
- ①核兵器禁止条約の批准を政府に求める
- ②県内でご存命の数少ない被爆者であり、原爆画を描く画家三浦恒祺氏(鶴岡市在住)の手記等を紹介しながら、被爆者に直接体験を聞く
など、被爆の実相を後世に伝える取り組みを求めました。
知事は、①「核兵器のない世界の実現は政府による外交努力の積み重ねが必要」等として、批准を政府に求めるとは述べませんでしたが、「核兵器は人類の負の遺産の代表的なもの」という認識を示し、②被爆体験は「本当にむごい様相」とのべ、被爆体験を「関係団体等と連携し次世代に伝えたい」と答弁しました。
今後、「後世に伝える」具体的取り組みを求めていきます。
2)LGBTの方々の権利を守る取組みについて
県内でも性的マイノリティの人たちが自分らしく生きられる社会の実現を訴える街頭行動がおこなわれ、パートナーシップ制度の導入を求める団体が発足、導入する自治体も生まれている。知事も当事者・支援者の方々と直接会い要望も受けた、として、
- ①LGBTも含む人権保障を県政運営に貫く基本条例等の制定
- ②パートナーシップ制度の創設と、当面可能な具体的配慮策の実施
- ③教育での性の多様性に関わる学習の保障
を求めました。
①知事は、「全ての人が…等しく基本的人権を享有する個人として尊重され…るべきであって、これらを理由とする差別は許されない」「先般、性的マイノリティの方を支援する団体(当事者含む)の方から…直接お話を伺う機会」があり、「不安や困難の解消を図っていくことが重要だという思いを一層強くした」として、
- 「県としての基本理念を示す、あらゆる多様性を尊重するための条例制定」や「パートナーシップ宣誓制度の導入等を視野に入れながら、しっかりと取り組んで参りたい」
と表明しました。
一方、今国会で成立した「LGBT理解増進法」について、「新しい法がつくられたこと」を「一歩前進」と述べました。しかしこの法律は元々「差別禁止法」としてマイノリティの人権擁護のために超党派で提案されていた法案が、「全ての国民が安心して生活できることとなるよう留意する」などと、LGBTが国民に不安を与える存在であるかのように表現し、「性自認」という用語を使わずに「ジェンダーアイデンティティ」という英訳を用いることで、当事者の「自認」以外の性別判断が持ち込まれる懸念を残す等々、当事者等から「差別促進法だ」という批判が上がっているものです。
マイノリティの差別を無くし、人権を守るための根拠として活用していくために、運動の一層の発展が求められます。
②子育て応援部長は、「(基本理念を示す基本)条例の制定やパートナーシップ宣誓制度の導入を視野に3つの観点から取り組みをすすめる」として、
- ⅰ)当事者等から話を聞き、意見交換やアンケート調査を実施する他、先行する自治体の話を聞く等、調査研究。
- ⅱ)多様性について理解を深める取り組みとして、県として初の理解促進セミナーの計画。
- ⅲ)行政事務の中で性的マイノリティに配慮した対応を行うための課題を整理、固定観念や偏見を無くす意識の醸成。
と答弁しました。
③教育長は、性の多様性に関する指導は、学習指導要領に盛り込まれていないが、文部科学省から通知が発出され、差別や偏見等の防止のための対応も示されている。これを受け、各学校で特別活動の時間や、道徳の時間、講演会など様々な活動を通して指導がおこなわれ、県教育委員会では、そうした取り組みの支援もおこなっている。LGBT理解増進法が施行され、政府が基本計画を作成するので動向を注視していくと答弁しました。
人権に関わる基本条例とパートナーシップ制度を明確に求める質問は、県議会初のものとなりましたが、12月定例会での県政クラブ議員への答弁で示されていた、「あらゆる多様性を尊重するための条例の制定」に加えて、「パートナーシップ宣誓制度の導入視野に」入れているとして、具体的な取り組みも答弁されました。
また、この間の当事者・支援者の声について、知事から「不安や困難の解消を図っていくことが重要だという思いを一層強くした」という真摯な態度が表明されました。
一方、教育では、多様な性を学びのテーマとしていない学習指導要領の問題が浮き彫りになりました。すべての児童生徒に多様な性についての学びを保障する施策が求められています。
人権に関わる条例・計画・指針などの策定が、少なくない都道府県でおこなわれています。同和行政のゆがみの中での策定もありますが、近年、秋田県で個人の尊重を謳う条例が施行になるなど前向きな動きも生まれています。いずれも策定していない山形県としては重要な課題となっています。
一方、多様性尊重の動きを阻もうとする攻撃(ジェンダーバックラッシュ)が国政でも地方政治でも現れています。統一協会を始めとする反共・反動勢力と自民党が結託した動きです。
憲法の理念に基づいてしっかりと県民に訴え、たじろがず取り組んでいく事が求められています。
3)新型コロナに係る医療・介護について
新型コロナウイルス感染症が5類移行とされたことによって、社会全体で感染拡大を抑止する方策のほとんどが失われ、高齢者を始めとするハイリスクを抱える方々の命を守るための医療体制確保がいよいよ重要となっています。
患者が増えてもひっ迫しない病床を確保する事が必要ですが、今後、入院を必要とする高齢者が拡大する可能性があり、県が10月まで確保するとしている536床では不足する事も想定されます。
そこで、3点質問しました。
①「高齢者施設入所者は(重症者以外)、原則として入院させず、施設内で療養」というこれまでの方針は、症状の変化に応じた適切な治療を速やかにおこなうことが難しく、感染者の重症化と施設内の感拡大の原因になってきたと考えられ、県高齢者施設協議会などからも見直しの要望が出されてきた。高齢者施設での施設内療養を原則とした影響を、どのように認識しているか
②病床の不足を解消することは当面するコロナ対策の重大課題であり、将来の新興感染症への対応としても不可欠だが、通常医療と両立させながら、コロナ病床を更に増やすため、適切な医療を提供するためには、看護師等配置基準改善、賃金引き上げ等を国に求めていくべきと思うがどうか。
③社会経済活動の再開の中で、高齢者を始めとするハイリスク者の命を守る対策はいよいよ緊急重大課題。平時からの医療・介護のあり方を検討していくべきと考えるがどうか。
①健康福祉部長は、施設内療養とクラスター・重症化・死亡の関わり等の結果把握がおこなわれていないにも関わらず、「一貫して適切な対応がおこなわれているものと自負しております」と答弁しました。
②部長は、医療従事者の疲労・疲弊、臨時の賃上げへの不公平感等についての意見が寄せられているとし、
- 「処遇改善は極めて重要」
- 「政府に対し、全国知事会等あらゆる機会を捉えて引き続き強く要望したい」
と答えました。
③吉村知事は、医療・介護従事者に
- 「心より敬意を表し、深く感謝を申し上げたい」
- 「医療・介護人材の育成確保とそのための処遇や就労環境の改善になお一層意を用いたい」
と答弁しました。
県は「施設内療養」の方針を採ってきた理由として「医療ひっ迫を防ぐ」事と合わせて、「入院によるフレイル発生」を挙げていますが、命を守るかフレイルを避けるかという問題は、本人・家族・施設が主体的に判断すべき問題です(常任委員会で指摘)。
新型コロナの最大の教訓は、日本の医療・介護・福祉の人員体制が貧弱であるために、ひっ迫・崩壊を来した事であり、平時から、ゆとりを持って働くことができ、新型感染症が発生しても、対応できる人員体制と、働き続ける事ができる賃金・労働条件改善が求められています。県は、具体的な配置基準には至りませんでしたが、改善の必要性を再確認し、努力する姿勢を表明しました。
4)学校給食の無償化について
「学校給食法で給食費は保護者負担とされている」などとして、無償化は制度上できないかのようなこれまでの県の答弁を念頭に、学校給食法は、自治体の給食費補助を禁止する意図でない事を指摘すると共に、政府がかつては国会答弁で義務教育無償の対象に給食費も含めていた事等も紹介、
①無償化は県の判断で可能であるという認識と、
②義務教育無償化の理念の下に、市町村と協力して学校給食費無償化に取り組む事を求めました。
髙橋教育長は、①指摘を否定せず、生活困窮家庭、就学援助制度での支援がある事、子育て支援や移住定住、物価高騰対策等での市町村の負担軽減施策を「承知して」いると述べましたが、②全国都道府県教育委員会連合会を通して負担軽減施策を要望したと答えるにとどまり、県としての施策は示しませんでした。
5)生活道路の交通安全対策
「ゾーン30」及び「ゾーン30プラス」の推進を提起、警察本部長は、有効な対策であると述べ、「地域住民、地方公共団体、道路管理者等の意見を十分に踏まえた上で、今後とも推進して参りたい」と答えました。
(3)常任委員会
<厚生環境常任委員会>
関県議は、
- ①低所得者への冷房代支援、
- ②高齢者施設入所者の新型コロナ感染時の施設内療養、
- ③コロナ9波への対応、
- ④医療機関の物価高騰等への支援
について質問しました。
①政府が熱中症対策計画を策定する等、対策が重大課題となっていることを指摘。福祉灯油支援に同様に、クーラー電気代など低所得者への支援策を創設することを求めました。担当課長の答弁は「低所得世帯には政府の世帯3万円の支援等がある」事を挙げ、「検討していない」というものに終わりましたが、関県議は、電気料金高騰の有無に関わらず低所得支援の必要性があると重ねて指摘し、経済的弱者への目配りとして吉村県政らしく検討することを要望しました。
②感染者の施設内療養の方針について、「結果の検証はしたのか」と問いました。県は「総括はしていないが、高齢者施設等と医療機関との連携について調査した。90%以上が連携している」と答弁しました。関県議は、施設内で感染者が亡くなったケースもある。入院によるADL低下などのリスクを取るのか、施設内療養による症状悪化と感染拡大のリスクを取るのかは、患者・家族、施設が一緒に考えていくべきもので、医療を受ける権利にもかかわる問題。一方的に決定すべきものではない。今後関係者と協議して検討していくべきと問いました。課長は「昨年度の改正感染症法で、新たに、都道府県は感染症の発生の予防、蔓延防止ために都道府県連携協議会を組織するとされた。高齢者施設協議会も入る形も想定し、声を聞きながら進めたい」と答弁しました。
③関県議は、政府専門家会議でも9波が8波より大きくなることも想定され、沖縄県では医療ひっ迫が起こっている。「10月まで新たな医療機関に入院受け入れを要請する」という移行計画に止まらず緊急対応が必要でないかと問いました。課長は「市町村、保健所と連携して対応したい」と答弁。医療統括監は「コロナ対策はオミクロン株に切り替わってから高齢者を始めとして重症化を予防する対策にシフトした。沖縄はワクチン接種率が最も低い。本県では、高齢者、基礎疾患のある人への接種加速を医師会に依頼した。重症化を減らすことで医療ひっ迫を防ぐ」と答弁しました。
④関県議は、補正予算で計上している医療機関の物価高騰等への支援について、新設された特別高圧契約の医療機関への支援について質問しました。医療政策課長は「特別高圧は政府の重点交付金の中のメニューにあるが、本県では山大医学部が対象。重粒子線が膨大な電気を消費するため」と答弁。関県議は、本県の医療機関支援は一般病院一床3万円は他県と比べ最も高い額になっているが、去年の半額であり、中小病院の要望切実である、と引き続き支援の検討を求めました。
<商工労働観光常任委員会>
石川渉県議は、
- ①インボイス制度の影響について、
- ②LPガス料金支援について
取り上げました。
①10月から始まるインボイス制度の影響について質問、フリーランスや個人事業主、農家、シルバー人材センター、乳飲料などの配達員など影響が幅広くおよび、このまま実施されれば経済の後退と混乱を招くと指摘しました。県は「シルバー人材センター会員はほとんど免税業者。その分消費税相当額をシルバー人材センターが負担することになり、かなり影響は大きい」と答弁。石川県議は、ふるさと納税の返礼品調達を民間事業者に委託をしているため、伝統工芸品などの事業者にも影響すると指摘しました。石川県議はインボイスの事業者には、帳簿などをつける実務的負担と消費税の新たな納税の2つの負担があるが、税のそもそもの負担はどうかと質問。県「10月以降どういった経済景況等の状況がどうなるか十分 しっかり注視する」
という答弁にとどまりました。
・石川県議は、県のインボイスの会計システム支援補助などは業者も助かっていると聞く。今年度、締め切ったが、これからもやってもらいたいと要望、併せて、インボイス制度が始まって、免税業者のままでいようとすると、取引先から値段の引き下げ、買い叩かれる可能性がある。相談先として「下請かけこみ寺(山形県企業振興公社)」の積極的なPRを求めました。
②石川県議は、補正予算にはガス料金を直接支援する施策がない事について問いました。県は「ガス使用は約30万世帯。ガス料金は2年前と比べ3030円ほど上昇している。ガス事業者は約400事業者いるが、大手もあれば家族経営でやっているような燃料店もあり、これらが役所に補助金申請する対応は難しいという話を聞いたため、商品券をガス料金にも使える仕組みした」と答弁。石川県議は「今回、ガス料金負担軽減策をやらないのは山形県ともう一つの県だけと聞く。LPガスの料金軽減施策をやる必要があるのではないか」質問をしました。我妻産業労働部長は「今後は、様々なやり方を改めて検討したい。その都度検討させていただければと思う」
と答弁しました。
(4)請願について
今定例会には「インボイス制度の実施延期・見直しを求める意見書の提出について」(提出者=STOP!インボイスやまがた、相原哲哉代表)からの請願が提出され、関・石川両県議が紹介議員になりました。
審査された総務常任委員会では、県政クラブ委員から「継続審査」の意見が出されましたが、自民委員から制度を進めながら改善を図る必要があるなどの理由で「不採択とすべき」という意見が出され、採決の結果、自民会派の反対多数で不採択となりました。
また、「マイナンバーカードの性急・拙速な運用拡大を行わないように求める意見書の提出について」(提出者=山形県平和センター、渡部貴之議長)についても、総務常任委員会で不採択となりました。
本会議では、石川県議がこれら2つの請願の「不採択」という委員長報告に対して反対の討論を行いました。石川県議の本会議初討論となりました。
石川議員はインボイスについて、①10月からインボイス制度が始まれば、これまで免税点以下の売り上げだった免税業者があらたな税負担となり経済を後退させる要因となる。②制度は業者の理解が必要だが、特例がさまざま追加され業者の周知が追い付いないと指摘。
マイナンバーカードについては、①法改後、カードのトラブルが多数見つかっている。②山形県保険医協会のアンケートでは「システムを導入してからトラブルがあった」が回答全体の65.7%。「データが確認できなかった患者に10割負担をしてもらったケース」も発生した。運用を一旦停止することも含め見直しが必要と、両請願とも採択すべきと主張し、不採択に反対しました。
マイナカードについては、県政クラブ石黒覚議員が「不採択に反対」の討論をおこないました。
採決の結果、両請願は、共産、県政クラブが不採択に反対、自民・公明は不採択に賛成としたため、賛成多数で委員長報告の通り不採択となりました。
また、自民議員から討論は無く、理由を述べずに不採択に賛成しました。
(5)改選後初の議会、5月臨時議会、議会運営に関する申し入れなどについて
県議会議員選挙後の5月、会派結成届が提出され議会の会派構成(定数43人)が決まりました。自民党会派(26人)、県政クラブ(立民、国民、無所属14人)、共産(2人)、公明(1人)です。
臨時議会は5月17日~23日まで開催され、5月17日には、議長選挙が行われました。共産党県議団は、議長選挙では、第2会派である県政クラブの木村議員、副議長選挙でも県政クラブの髙橋啓介議員に投票しました。地方議会では、公平公正な議会運営を姿勢の表れとして、議長は第1会派、副議長は第2会派からという慣習がありますが、山形県議会では長らく自民会派が議長・副議長のポストを独占してきました。
これまで共産党県議団は、議長選挙では、自会派もしくは白票を投じてきましたが、自民会派によるポスト独占への抗議の意味で、第2会派に投票しました。
議長就任後の5月22日、森田議長に対し「議会運営に関する申し入れ」を行いました。
申し入れでは「少数会派及び無会派の議員は、議会毎に全議案への質疑・質問を行えない」ことの是正など県民の多様な意見の尊重を図るよう求めた他、〇会派協議会の内容を少数会派にも知らせること、〇特権的な海外視察制度の廃止、〇政務活動費で飲酒を伴う会合に支出しないこと、〇議会の喫煙所の廃止、〇議会運営においてジェンダー平等の理念を具体化することなどを求めました。
各県議の委員会所属・議会選出会派割振は以下の通りです。
〇関徹(厚生環境常任委員会、産業人材確保・生産性向上対策特別委員会、県交通安全対策協議会)
〇石川渉(商工労働観光常任委員会、子育て支援・生涯活躍対策特別委員会、広報・公聴委員会)
以上